9mm Parabellum Bullet 「FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019」 @広島クラブクアトロ 2019/10/12
結成15周年の2019年9月9日に発売された8枚目のアルバム「DEEP BLUE」を引き下げて行われた「FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019」。ツアー初日に選ばれたのは広島。台風の影響で延期になるかと思われたが、前日のアナウンスで予定通りに開催されると知らされた。逆に焦ってしまった。そんな慌ただしい中だったが、無事に開催されて本当に良かったと思う。
今回のツアーはアルバムの曲が主ではあるが、懐かしい曲もやるとのことでとてもウキウキしていた。”心が躍る”とはこのことだ。
そんなこんなでツアー初日のライブレポートをお届けします。言葉足らずで分かりずらい箇所もあるだろうけれど、大目に見てください…。
フロアがざわつく中、暗転、SEが流れる。「1!2!3!4!」というおなじみの掛け声。もうこの時点でぶち上っている。フロアから溢れる怒号の中、メンバーが現れる。定位置につくと卓郎さんが「9mm Parabellum Bulletです」と呟く。
美しいギターの音色が響き渡り、始まったのは「Beautiful Dreamer」。ドラマティックな開幕に身震いをする。卓郎さんと滝さんの声が会場に響き渡り、フロアを一気に彼らの色に染め上げる。青い照明が彼らを照らし、幻想的なステージを作り出す。「綺麗」と声に出てしまうほどだった。
序盤からキラーチューンを連投し、会場を熱狂の渦へと引きずり込む。今回のアルバム・ツアー名にもなっている「DEEP BLUE」。途中で卓郎さんが「広島―!!」と叫ぶと歓声が沸く。卓郎さんはそれを見てニコニコしており、とても可愛かった。
「はしゃいでいるだけじゃなく 青春を一生塗り重ねてく」とあるように青春をするにはただの“日常”で終わらせてはならない。羽目を外しすぎることも違う。私たちは“青”を塗り重ねていくのだ。
「カルマの花環」では攻撃的な彼らが見れた。ギターを振り回し暴れる滝さんを見ているととても楽しくなる。滝さんと和彦さんは前に出てオーディエンスを煽りに煽りまくる。かみじょうさんは対照的でとても冷静だった。「絡まるカルマ 花は咲くのか」の部分の滝さんは卓郎さんに負けないぐらい声を張っていたのが印象に残っている。この曲と赤い照明は良く似合う。
そしてここできたのが「Answer And Answer」。久々に聴くことができ嬉しかった。初めて9mmを見たときの演奏曲であり、その時の記憶がよぎった。背中に電流が走ったあの感覚。昔の余韻に浸っていたら、ギターの爆音が耳を劈いた。“昔のことを思い出していないで目の前の俺たちを見ろ”と言われているようでちょっと笑ってしまった。滝さんはギターを掲げ、和彦さんはギリギリまで前に出てオーディエンスを煽る。鋭い目つきをする卓郎さんは何度見てもゾクゾクする。
「広島!!ただいま!!」という卓郎さんの言葉に「おかえりなさい!!」という声が一斉にフロアから響いた。そのあたたかい言葉に卓郎さんは優しい笑顔を見せた。私は地元(名古屋)で何度も見ることができているからか、なんだかその言葉が新鮮であり、“地元で定期的に見れている”ことがどれだけ幸せかが身に染みた。「“久しぶり”ってMCしようと思ったけど、みんな凄いからそんな必要なかったね。」と柔らかい声で言った。
和彦さんのソロから入る「Getting Better」は4月のフリーライブ大阪野音で聴いた時と印象とだいぶ違った。半年以上ぶりライブで聴いたからか、それともアルバムに入りまた違う色に染まったからか。なにが原因かはわからないが、和彦さんの派手なベースラインとシャウトは変わらずカッコよかった。前に出てくることも煽りも多く、気合が入っているなと感じた。“俺たちの和彦を見てくれ!”と言わんばかりに和彦さんに視線を度々送るメンバー。愛されているなあと思った。
「相も変わらずここにいて 明日も多分生きている」という言葉はまさに私のことで、現実に絶望し死にたいと思っても結局生きている。だからこそ明日も多分生きていると言い切る。「まだ良くなる きっと良くなる もっと良くなるさ」と鼓舞をしてくれるのは正直照れ臭いが、私みたいなタイプには有難い。好きな人たちがそう言ってくれるなら、きっと良くなるじゃないかって信じられるから。あと、「ぶっこわしなさい」がひらがな表記なのがなんかかわいい。
“懐かしい曲をやる”という言葉が頭を過った。ここらでくるかと思ったのが当たりだ。だが曲自体は予想のはるか斜め上。「interceptor」だった。衝撃が強すぎて固まってしまった。それは他の人たちも同じだったらしく、後ろからの圧(物理)がなかった。“知らない”からではなく、単に“驚き”だというのは曲が中盤に入って分かった。圧が戻ったからだ。滝さんの美しいコーラスがとても響いていた。曲の最後に卓郎さんをライトが背後から照らした。こういう表現はあまりしたくはないが、とても“神々しい”と思った。「これを見るために私はライブに来たんだ」と瞬時に理解した。頬には涙が伝っていた。
余韻に浸っているのもつかの間、“踊れ”と煽られるようなイントロが聴こえてくる。「Bone To Love You」だ。“まだまだいくぜ”と言わんばかりの妖しい笑顔を見せた卓郎さん。モンキーダンスのように上下に腕を動かしたり、盆踊りのように手をひらひらさせる卓郎さんは純粋に可愛い。みんな好き勝手に踊っていた。
去年のツアーで聴いた時とはまた違う色を見せた「21g」。「カルマの花環」や「Getting Better」のようにアルバムに入ってから自分の地位を確立させたからだろう。焦燥感にかられるような演奏だった。
赤と紫の照明が彼らを妖しく照らす。「Ice Cream」は背中が凍るようなゾクゾクするメロディーに、重々しい歌詞。激しいパフォーマンスはない代わりに、鋭い目つきでこちらを見てくる。“怖い”ギターの音が耳を犯してきた。
今作のアルバムは曲調や歌詞など、全てひっくるめ“明るい”ものが多い。その中で異彩を放つこの曲。前作に入っていておかしくないようにも思えるが、実際にライブで聴いてみると違和感はなくしっくりきた。むしろ今作だからこそ“栄える”のかと納得した。どこのインタビューだったか忘れてしまったが、滝さんが「ホラー感がある曲は好きだけど、(ファンに)あまり受けない」と話していたが、SNSとライブ中の反応を見ればそうでもないと思う。今回のツアーを通してそれに気づいてくれたら嬉しいな。
卓郎さんがアコースティックギターに持ち替え、「夏が続くから」へ。アコースティックギターだからこその“味”が出ていた。うっとりとさせるような演奏に少し寂しげな歌詞にギャップを覚え、“エモーショナル”とはこのことを言うんだなと思った。終盤の「君がそばにいるなら~…」で滝さんと和彦さんが同時に手拍子を促す。それに答えるようにオーディエンスは手拍子をすると卓郎さんはふわっと笑顔を見せた。
“初めての夏の曲”と言っていたが、スタンドバイミーなど何曲かあるイメージなんだが…。“夏”という言葉がつく曲名は初めてという意味なのか…わからない。
続く「カモメ」は、“聴かせる”のを重点に置くようにとても丁寧に演奏されていた。壮大さと佳麗さが入り混じったメロディーはフロアを圧倒させた。
「いつまでも」では滝さんの高音のコーラスが混じり、可憐な化学反応を起こす。のびのびと歌う卓郎さんは見ていて気持ちがいい。落ち着いているように演奏しているように見えたが、内に秘める激しさが滲み出ていた。大切な人を想う、とてもストレートな曲。少し恥ずかしく感じる人もいるかもしれない。だがあれだけ堂々と歌われると清々しい。心にスッと落ちてくる曲だと改めて思った。
ここでDEEP BLUEへの思いを語った。「“青”だけじゃなくて人はいろいろな色を重ねていくんだと思うんだけど、それじゃ“黒”になっちゃうんだよね、絵の具って。でもそうじゃなくて、青を塗り重ねて“深い青色”になれるんじゃないかなって、この先もそうやってバンドを続けていけるんきゃないかと思ってこのアルバム名にしました。届いているかな?」と投げかけるとフロアからは拍手の嵐に微笑む卓郎さん。届いているよ、大丈夫。
「東京の台風をぶっ飛ばしてやろうぜ!!」と言い放った卓郎さんに答えるように叫ぶオーディエンス。「いけるかー!!」といういつものやり取りを経て、ライブはラストスパートへ突入する。
「ハートに火をつけて」では、間奏で滝さんが台に立ちネックを振り上げる動きに合わせて卓郎さん、和彦さん、為川さんは左にスライドをする。おなじみの光景だが、何回見ても楽しいし遊び心がある。「灰にならないかー!!」と卓郎さんと一緒にオーディエンスも叫ぶ。
「名もなきヒーロー」の卓郎さんの表情が忘れられない。安心させるような言動・表情が多くてある意味ポーカーフェイスな彼だが、苦しさや悲しみだろうか、わからないがなんとなく“なにか”が出てきてしまっていた気がした。言葉が足りなくて想像しにくいのは承知です、申し訳ない。
辛いとき、しんどい時はよくこの曲を聴いている。本当に心の支えになっていて、ライブ中もこれを聴いて泣くことが多い。特に、「正しい答えじゃなくたって 間違いだとは限らないんだろ たおれたら そのまま空を見上げて」は卓郎さんの優しさが出ている。普通の人なら立ち上がれとか言うのにね。やさしいね。
「君は桜」の入りをかみじょうさんが間違えるという事態が発生。卓郎さんとかみじょうさんは顔を見合わせ驚いていた。かみじょうさんは「え、俺違った?」と言わんばかりに目を丸くしていた。愛くるしかった。数秒フリーズした後、予定通りカウントに入った。流石、プロだ。卓郎さんはというと、きょとんとした後にケラケラ笑っていた。この曲を聴いた当初はまさか9mmから「卒業おめでとう」という言葉を聞くとは思わなかった。もう秋だというのに会場内は“春”だった。
止まることのない勢いの中で「Black Market Blues」を投下。加速しかしない。大口を開け楽しそうに笑う卓郎さん、ギターを振り回し掲げる滝さん、前に出て煽りそして叫ぶ和彦さん、クールにスティックを回すかみじょうさん。ああ、これが9mmだと改めて確認ができた。こうでなくっちゃな。暴れ暴れ暴れまくるメンバーを見ているとアドレナリンがドバドバと出てきてしまう。
滝さんと為川さんがぶつかるアクシデントがさらっとあったが、2人とも笑顔で「ごめんごめん」と軽い感じだった。ちょっとヒヤッとしたが何事もなくてよかった。あと結構真面目に肋骨が折れるかと思うぐらいの後ろから圧があった。肺がつぶれるかと思った。けど、それだけみんながテンション上がっているのかなと思うと許せる、もしつぶれても。
ラストを飾ったのは「キャリーオン」。個人的にこの曲には特別な感情を持っていて、ずっと泣いていた。だからあまり覚えていないのです…。ただ、卓郎さんがよく私を見てくれた気がした、優しい笑顔をしていた。
彼らがステージから去り、姿が見えなくなった瞬間、早くもアンコールを求める手拍子が始まる。“早く出てきてくれ”と焦らせるようにテンポが速く、大きかった。その手拍子さえも居心地がよく感じてしまう。ステージに戻ってきた彼らは笑顔だった。
卓郎さんが「次の曲はみんなに歌ってほしいんだ。俺たちだけが歌っても足りない。歌詞はなんでもいい。日々のマントラをぶつけてくれ!!」と言い、「Mantra」へ。メンバーが叫び、オーディエンスも叫ぶ。“無我夢中”とはこのことだ。あの場所にいた誰しもが好き勝手に、喉がかれるまで叫び続けた。日々の鬱憤が浄化させた。ただただ楽しかった。
「やばい!」「楽しい!」といった声と笑い声が聞こえる中、ステージは先ほどとは打って変わって静寂が走る。その姿を見てフロアも静かになると、滝さんのギターが響き渡る。「Punishment」だ。何度聴いても何度聴いても足りない。この曲を待っていた。滝さんの高速カッティングを見ているだけでテンションが上がり、笑顔になりながら涙が出る。感情が迷子だ。間奏ではフロントの4人がギリギリまで前に出てきた。どこに目をやればいいのかわからず、ずっとキョロキョロしていた。真ん中は一斉に全員みるのが難しいと改めてわかった。とりあえず全員楽しそうに演奏していた。「ハイハイ…ダー!!」と叫ぶ部分は滝さんはちょっとお疲れ気味で叫んではなかったけれど、オーディエンスが代わりと言ってはなんだが、叫んだ。それを見た卓郎さんは笑顔だった。滝さんはずっとフロアを見ていた。澄んだ瞳がとても綺麗だった。
彼らがステージから去っていく。幸せな時間が終わってしまうという現実を突きつけられる。嫌だ、終わらないでくれ、いやだ。そう思っていても終わりは終わりで。彼らの背中を見送ることとなった。フロアに終演時のBGMが流れる。ぼろぼろと流れ出る涙で視界は歪んだ。「ありがとう」と何度も言った。
バックドロップが鮮やかな青いライトに照らされていた。
セットリスト
2.DEEP BLUE
3.カルマの花環
5.Getting Better
6.interceptor
7.Bone To Love You
8.21g
9.Ice Cream
10.夏が続くから
11.カモメ
12.いつまでも
13.ハートに火をつけて
14.名もなきヒーロー
15.君は桜
16.Black Market Blues
17.キャリーオン
アンコール
18.Mantra
19.Punishment
今回の公演は本当に“運が良かったな”と痛感した。整番が初めての一桁・3番だったこと、元々乗る予定でいた夜行バスも帰りの新幹線がちゃんと動いてくれたこと、ホテルのおばさんが優しかったこと、“滝家の米”が無事購入できたこと、新幹線のホームの件、その他もろもろ含め、本当に幸せ者だなと思います。
あとね、私はやっぱり晴れ女だわ。
あとこちらもTwitterに書かせていただきましたが、今回の広島強行突破の件で心配してくださった方々、本当にありがとうございました。こんな無鉄砲野郎の心配なんかしてもらっちゃって…。皆さんのやさしさにいつも甘えてばかりです。申し訳ない。
それではみなさん、次の会場で
“生きのびて会いましょう”